先日、習近平の国賓来日が、事実上白紙になったことが報道されましたが、皮肉ではありますが、これは日本の尊厳や国益に叶う、真の外交上の成果だと言って良いと思います。習近平が国賓として来日すれば、日本の国際的威信は必ず低下し、尚且、各国との、中国に対する外交的な足並みを崩す結果に終わるからです。チベット・ウイグル・南モンゴルを始めとして、更には「国家安全法」で香港弾圧を強行する血塗られたCCP(中国共産党)の首魁を、あろうことか、「国賓」として日本が迎え入れるのは、事実上、不可能だと言って良い。外交的な水面下で、日中が、どんな遣り取りをしたかは関知しませんが、二階俊博の悲願だった「習近平国賓来日」が阻止されたのは、善良なる日本人にとって、真に喜ばしいことです。私の知る限りでは、習近平を、「国賓」として迎えることに、賛同する日本人は皆無でした。来賓を強行するというのなら、人権問題で、世界から糾弾される中共を、日本は黙視するとでも言うのでしょうか。習の国賓来日は、断じてあってはならない。先だって英国は、中共による「国家安全法」の成立を受けて、最大250万人の香港人(政治的難民)を受け入れると公表したばかりです。世界各国が憂慮する中、香港自治の約束は中共に反故にされましたが、私には、日本政府の姿勢も、問題視すべきだと映っています。最後まで、習の来日に未練を残した政府にも、鋭いメスを入れねばなりません。習近平の来日に、何のメリットがあるというのか。日本政府は公にしていませんが、意思の疎通が不可能且つ、尖閣諸島に領海侵犯を繰り返す中国の元首を、断じて日本に入れるべきではない。習の来日に反対の狼煙を上げ、「国家安全法」への抗議書に署名した、山田宏氏を始めとする、66人の衆参の国士達に、先ずは感謝と敬意を表明したい。皆、自分の保身や利害に奔走する中、真の国士達は勇気を持って行動しました。日本政府は、天安門の時と同じく、香港弾圧を日本が容認するかのような、不可解な外交姿勢は改めるべきです。本稿では、香港に対する中共の弾圧を俯瞰し、国賓来日阻止に動いた国士達について詳述して参ります。
「事態を注視する」の発言
自民党幹事長の二階俊博は、中国に於ける「国家安全法」の成立に対し、「事態を注視する」旨、発言しています。私は、国政を預かる人間の発言としては、この種のレトリックに苛立ちと反感しか覚えない。要は、二階の言わんとするのは、「中国への内政干渉はしない」との考えです。香港のみならず、チベット・ウイグル・南モンゴル・法輪功などに対する重大な人権侵害は、二階にとっては、どうでもよく、国際的に糾弾されるべき、人道上の問題との認識が皆無なのです。宮内庁の公式サイトでは、「国賓とは,政府が儀礼を尽くして公式に接遇し,皇室の接遇にあずかる外国の元首やこれに準ずる者で,その招へい・接遇は,閣議において決定されます」とされています。果たして、習近平を、「儀礼を尽くして公式に接遇」すべき相手かどうか、二階には正常な判断がつかない。二階派に所属する議員も、これに準ずる。更に言えば、「国家安全法」への抗議書に署名しなかった衆参議員も同類です。人権の尊重は、国の垣根を超えて、普遍的です。何故、彼等は抗議しないのか。頭の中は、空っ風でも吹いているとしか言いようがない。宮内庁の定義では、国賓は「閣議」で決定されるとある。政府の外交方針に容喙する二階のような人間が存在しているにせよ、習近平の国賓来日に際し、閣僚達が、どんな合意を結んだのか、私には到底分からないことです。これは明らかに、政府にも問題があったと言わざるを得ない。
香港は弾圧される
全人代に於ける「国家安全法」の成立は、周知の通り、香港の自由主義を破壊する目的を持っている。大きな動乱の予兆が感じられる。国際世論や各国政府の動きも加速を見せている。然しながら、日本政府は、中国に対して、断固たる抗議をしていない。「憂慮」だの「遺憾」だのと、悠長な言説で済ましている。尖閣諸島への中国公船の領海侵犯に、決然と抗議の意思を示したのは、河野太郎防衛大臣以外に見当たらない。中共に及び腰の議員達は、「黙して語らず」で済ましている。愈々始まる、香港の自治の破壊を、指を咥えて眺めているだけなのか。事実、「国家安全法」への抗議書に署名した、山田宏氏を始めとする、66人の衆参の国士達以外に、私は国の未来を託せない。天安門の時と同じく、香港弾圧は、思わぬ形で日本にもフィードバックしてくる筈です。天安門後の動きを見れば、江沢民が撒き、発芽した反日主義が、現実に尖閣諸島での軍事的な脅威となって、現在、日本に降り掛かっている。単に、イデオロギーや歴史の問題に留まらず、現実に、軍事的脅威となって日本に災厄をもたらしています。江沢民を国賓として招き、天皇陛下を訪中させたのは、一体誰か。私は、香港の崩壊が、既に始まっているのを知っています。
抗議に連名した国士達
山田宏氏を始めとする、66人の衆参の議員について、私は個々を調べることは一切していないし、その必要性を感じません。国家危急に於いて、彼等が立ち上がってくれたのが「救い」だったからです。国を尊び、人間の尊厳や権利を護る為に、彼等が団結してくれたのが頼もしかったのです。矢継ぎ早に、各国政府は、中国の人権侵害に声を上げている。然しながら、一体、日本政府は、何をやっていたのか。習の来日を鑑みて、中共に「忖度」し、尖閣の主権侵害に強く抗議せず、馬鹿げた「日程調整」やらをやっていた。二階は、救い難い売国奴ですが、唯々諾々と、彼に従う人間も批判すべきです。香港弾圧に備えて、日本政府は今こそ、毅然とした態度で臨むべきではないでしょうか。媚中派を政界から一掃し、真の日本の尊厳を追求すべきではないでしょうか。人権問題へのセンシティブな配慮に欠け、一国二制度の約束を破る、中国政府に忖度する二階の外交感覚は、もはや狂っているとしか言いようがない。外患内憂の日本を、更に混沌へと陥れ、香港の自治や自由主義を否定する二階の存在は、日本国の害毒に他ならない。自民党の中には、政府が香港問題に関し抗議を示さず、「憂慮する」とした表現に留まっている不甲斐なさを、糾弾する声が上がっています。対中制裁に踏み出した米国との歩調が合わないジレンマを、二階は、どう解決する積もりなのか。媚中派の彼には、その答えは無い筈です。
この記事のまとめ
日本人の良識に期待して止まない私は、未来を決して悲観はしていません。衆参合わせて、何人の国会議員が居るかは知りませんが、山田宏氏を始めとする、66人の衆参の議員が一致結束して国難に対処しようと奮戦するのに、私は未来を感じます。彼等の署名が政府を突き動かした訳ではないのかも知れない。然しながら、香港のみならず、日本の国益と尊厳を護るべく、果敢に動いてくれた事実を、私は忘れることはないでしょう。
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