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​複雑な国際情勢をコンパクトにまとめることが出来ないか考えて、私はこのブログを書き始めました。今、世界で何が起きているか、一早く読者の皆さんと情報をシェアしていきたい。その思いから、記事を書くことにしたのです。

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執筆者の写真Masaki Ogawa

香港陥落|激震する国際社会と日本の無関心


私は、香港こそが、大陸に於ける自由主義の最後の砦だと考えています。香港の民意が懐柔され、自由が破壊されることは、決して他人事ではありません。香港は今、かつてない激動期に差し掛かっています。香港に於ける中共の専制は、弾圧と殺戮を通じて達成されつつある。私達日本人の間近で、大きな悲劇が生まれているのです。自由主義陣営に属する私達には、これは異様な光景だと映る筈です。血塗られた中共の圧政は、今、正に、リアルタイムで暴威を奮っている。果たして日本人は、香港の悲劇の傍観者であってもいいのでしょうか。国際社会が、専制国家中国の残虐性を容認したがために、チベットやウイグル、内モンゴルの悲劇が生まれたと言っても過言ではありません。ゆうに120万人を超えるチベット人が虐殺され、100万人のウイグル人が強制収容所に送られたのです。人類は、中共と敵対関係にある。現在の香港問題を考える際には、先ず、初めに、以上の断り書きを綴っておかねばなりません。私達は、意を決して、中共の圧政と戦う覚悟を持たなければならないのです。恐らく、人類史上、類を見ない邪悪な存在である中共を、私達が葬り去らねばならない時期が近付いています。本稿では、先だって記載した記事を更に掘り下げ、香港問題について詳述していく予定です。

大陸に於ける、自由主義の最後の砦だった香港は、2019年11月20日に事実上陥落しました。今現在、香港民族党 (Hong Kong National Party )の指導者、陳浩天氏の安否も定かではなく、香港民族党の標榜する、中国からの香港独立と、香港共和国の樹立は、習近平政権によって握り潰されたのです。ネパール訪問中だった習近平は、中国に対する、如何なる分裂主義的な主義主張であれ、「骨を粉砕することで報いる」と、声明を出しています。この発言の竿指すところは、明らかに、香港デモを牽制しているものかと思われます。”雨傘革命”以降の香港の動静を探りつつ、これから先の香港の行方を見定めていきましょう。

香港の自治を反故にする中国共産党

1997年の英国から中国への返還の際、一国二制度が担保され、今まで香港は自由主義を保って来ました。50年間を目処に、香港には高度な”自治”が約束されていました。周知の通り、香港は民主的且つ自由主義経済圏にあり、国際的な金融市場の一翼を担って来ました。然しながら、西側諸国と人権の普遍的な価値観を共有する香港は、中共の膨張主義的な振る舞いとは、水と油の関係でした。チベットやウイグル、内モンゴルを始めとする周辺諸国を侵略し、半世紀をゆうに超える弾圧と民族浄化を継続してきた中共が、香港にも魔手を伸ばすのは時間の問題だったのです。若い香港の急進派は、自らを”香港民族”とのアイデンティティに位置付け、中国からの分離独立を掲げて旗幟鮮明に宣言したのでした。イデオロギーではなく、メンタリティ的な、”香港民族主義”に求心を図った陳浩天は、2016年3月28日、遂に”香港民族党”の樹立へと動いていきます。然しながら、香港基本法に反するとの当局の意向で、 2016年の議会選挙で、陳浩天は出馬が認められなかったのです。

私は、日本の為政者が、香港への中共による弾圧に、些かも深い懸念を抱いていないことに、深い絶望感を味わっています。中共は内政干渉と突っぱねるでしょう。然しながら、「人権」というものは、国の垣根を超えて、人類の普遍的な価値観であるべきです。何故、日本の政治家は声を挙げないのか。何故、彼らは抗議しないのか。私には苛立ちしか感じられないのです。国際的な視野が狭窄した日本の政治家達が、中共の暴政を間接的に容認してしまっている。本来ならば、国際世論に働きかけて、中共の非道を糾弾すべきです。”親中派”などと小賢しい売国政治家が、日本の政界に瀰漫しているのも原因の一つです。

非合法活動のレッテルを容認しない陳浩天

急進派への政治的圧迫が、2018年7月17日に始まります。香港保安局の李家超局長は、治安上の問題(都市騒擾・暴動など)から、香港民族党の活動を非合法だと決めつけ、政治活動の手足を縛っていくこととなります。同年7月22日に、急進派への政治的封殺に憤激したデモが多発します。林鄭月娥 氏が北京政府の傀儡であることは、香港では常識となっています。香港外国特派員協会での香港民族党の講演に容喙し、デモの引き金になるなら香港民族党の活動を全面的に禁止する旨、香港保安局は通達を出します。陳浩天は信念の人間であり、如何なる弾圧があろうと自分は主義を曲げることはないと切り返したのでした。

次世代を担う若者達が、未来を悲観することなく、自由を護る戦いに散っていく。それも、命を省みずに戦っています。正に、同じ光景が、30年の時を超えて、天安門前で繰り広げられていました。日本の国策の誤り、米欧の楽観主義が、現在の香港の悲劇を助長したとも言えるでしょう。再び国際社会が沈黙すれば、自由主義は崩壊してしまう。私は、この点を、何度も強調したい。中共を容認すれば、自由主義は滅びる。それが歴史に棹さす流れなのです。

香港デモを制圧する香港警察

デモに参加する多数の学生や市民、団体には、相互に干渉しないとの暗黙のルールがありました。2019年香港民主化デモの特徴は以上のように、和理非派(穏健派)と勇武派(急進派)が手を携えていた様子が伺えます。デモ隊の目標は”五大訴求”と呼ばれ、逃亡犯条例改正案の完全撤回をはじめとして、普通選挙の実施と、警察機構の暴力を監査すること、デモは暴動とは異なることを認めさせることなど、明確な目的を持って遂行されていました。

香港理工大を最終拠点とする、学生たちの抵抗の凄まじさを、以下のビデオで見て下さい。

10月20日時点での逮捕者は2603人、負傷者は推定1300人、起訴された者は467人、死者は150人以上に上ると推計されています。警察はデモ参加者の女性の死体を”自殺”と公表し、他殺ではないと言い逃れをしていますが、恐らく拘置所で暴力死させられた可能性が否めないのです。凶暴な暴力装置と化した警察機構への市民の怒りは凄まじく、デモは巨大な渦となって拡大していきます。

私は、この一連の流れを鑑みて、香港デモは、明らかに、「自由主義」を護る戦いだと、デモ参加者一人一人が認識していたように感じています。これは一種の、”代理戦争”です。清朝が辛亥革命で倒壊したのを彷彿とさせますが、香港民衆の怒りは凄まじく、米欧や日本の共有する価値観を、香港のデモ隊が命賭けで護ろうとしている。私には、そう映るのです。冒頭で書いた通り、香港デモが、日本の我々とは無縁でないというのは、以上の理由からです。

自由主義と全体主義の闘い

私は、香港で今起きている事象は、自由主義と全体主義の闘いだと考えます。米中の軋轢を持ち出すまでもなく、世界の再編に向けた端緒であると考えています。歴史に学んだ陳浩天は、”民族自決”の闘いを止めることはないと、主義主張を貫いています。彼の立脚する民族とは、”香港民族”であると、標榜しているのです。と言うのも、世界の対立の構図が、香港を”雛形”として、説明が可能だからです。”民族”の自主独立と主権、自由と公平を求めるデモの意味するものは、無辜の民族を踏み躙る中共の横暴に楔を打ち込む契機であるからです。人権を踏み躙るならず者の集団を国家とするのか、自由と博愛に根差した価値を紐帯にするのか、今、正に、世界が直面する問題の縮図を、香港デモが体現しているからです。

私達日本人に突きつけられた、歴史的な課題を、香港の若者にだけ担わせて、無関心であっても良い筈がないと、私は考えています。自分が香港の人間であれば、私は当然デモ隊に加わり、中共の圧政と向き合っていきたいとすら考えています。現実に対し、刮目して悪政に抗議し、場合によっては命を賭けねば守り通せない。残酷ですが、世界の歴史がそれを、裏書きしているのです。

自由主義の沈黙

私達、日本人は、粘り強く国際社会に発信しなければなりません。私は無関心や沈默こそ、”自由主義の死”を意味することだと考えているからです。言論を封殺された社会の怖しさを、私達は、よく考えておくべきなのです。自由主義の沈黙は、我々が普遍とする価値観の死を意味しています。

私は、世論に働きかける意図を持って、この記事を綴っています。”隣人”の痛みを知り、命賭けの声を聞き捨ててしまう冷淡さは、私にはありません。そして正しく日本人であれば、それが可能だと信じているのです。何者にも惑わされることなく、邪悪を糺し、義の為に献身する。古来より日本人が美徳とした、”大和魂”は生き残っている筈です。

この記事のまとめ

未だに緊張の続く香港情勢を見て来ましたが、現在進行形である点に注意が必要です。世界中に瀰漫する、中共の独善的な価値観に叛意を決した香港市民の、命を賭けた闘いを、我々も同様に貫けるかどうか。自由や平和を尊び、必要とあれば”声”を上げることが出来るかどうかに懸かっているからです。

以上の記事は、以前に寄稿した記事の加筆修正となります。益々と、我々日本人の決意と覚悟が、試されるときが来ています。この記事の結びに、以前記事を読んで下さった方への感謝の意を示しつつ、本稿を閉じることと致します。

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