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​複雑な国際情勢をコンパクトにまとめることが出来ないか考えて、私はこのブログを書き始めました。今、世界で何が起きているか、一早く読者の皆さんと情報をシェアしていきたい。その思いから、記事を書くことにしたのです。

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執筆者の写真Masaki Ogawa

武漢肺炎と世界経済|国際政治の激動


武漢肺炎による世界経済への影響

「日本国際問題研究所」の既刊資料によれば、武漢発のパンデミックが世界経済に与えるショックは、リーマン危機を超えると専門家は分析しています。理由は大きく2つの要素から成り立っている。先ず、サプライチェーンの凍結によって、生産活動の停滞に伴う、「供給面」に於ける活動麻痺が指摘されています。生産のみならず、パンデミックは物流へと影響し、感染爆発による労働力の供給停止は、生産活動への致命的な事態を招きかねない。次に問題となるのは、各国に於ける経済活動の寸断の為に、総じて「外需」が減少し、いずれ、海外需要への深刻な落ち込みへと繋がっていく点です。これは雇用の減少へと繋がり、更に内需を冷え込ませるといった、悪循環をもたらす可能性が極めて高いと指摘されている。中国はサプライチェーンの中核的位置を占めていますが、例に挙げるなら、日本は、中国から日本への2月の輸入は、前年同月比マイナス47.1%と極めて甚大な影響を蒙っており、米国の「デカップリング」を初めとして、日本も生産拠点の国内生産回帰に助成金を打ち出す流れを作っている。コロナショックにより、ほぼ、世界経済が同時に停滞する中、生産と消費が同時に凍りつく、極めて深刻な事態が目の前で展開しています。本稿では、アフターコロナの世界の行方を経済面、及び国際政治の面から考えてみます。

サプライチェーンの脆弱性

サプライチェーンの脆弱性は、そのグローバルな性質自体にあると言っていい。つまり、分かりやすく言うなら、中国に於ける生産の停滞は、サプライチェーン・ネットワークを構成する全てのシステムに波及する。サプライチェーン・ネットワークに過度に依存し過ぎたために、グローバリゼーション(グローバル企業)は、その国際的な分業システムに於いて、大きな支障を来すことが考えられます。中国での生産低下に伴って、「供給」に於いての活動の低下は、各国へと波及し、更に、パンデミックに対するロックダウン(人の往来が停止)により、労働力の著しい減少を齎すことになる。それに追い打ちを掛けるのが、外需への減少です。これは、生産拠点の国内回帰(脱中国)を進める各国の、頭痛の種であるのは間違いがない。雇用の落ち込みは内需を冷え込ませる。つまり、冒頭で見たように、生産と消費が同時に凍りつく事態を招きかねない。

国際政治を反映する経済

サプライチェーンに於ける危機の分散化と、アフターコロナの世界経済の再構築に関し、各国は既に動きを加速させています。日本政府を例にとるならば、国内生産整備に向けた、2200億の補正予算を計上し、ASEANを中心とした、製造拠点の多元化を進めています。既に、「ASEAN経済大臣共同宣言」を声明した日本は、ASEANとの経済的連携を摸索しつつある。これは、国際政治情勢とは無縁のものではなく、むしろ、サプライチェーンの再構築には、色濃く国際関係が反映する筈です。そうした最中、中国は国際的なイニシアチブを企図して「マスク外交」を繰り返し、各国の警戒心を著しく高めている。粉飾統計のために、中国が武漢肺炎によって、どの程度の経済的被害を蒙ったのかは知り得ない。明白なのは、米国の武漢肺炎への対処の遅れを好機とばかり、武漢肺炎を終息させた「中国モデル」の輸出に余念がない点です。世界経済が、「国際政治を反映している」とした理由は、以上によります。最後の節では、「世界が迎える危機」と題して、世界の帰趨を考えてみたいと思います。

世界が迎える危機

パンデミックの問題が、世界経済に如何なる影響を及ぼしたか、前節で見て参りました。然しながら、パンデミックの危機は、一段階ステージ上がっています。例えば、強行なロックダウン(人と物の封鎖)によって、武漢肺炎を制圧したかに見える中国は、各国へ強圧的な姿勢を繰り返している。周知の如く、とりわけ、米国と中国の関係は決定的に破局しました。パンデミックの問題は、国際的な係争へと発展し、米中は、互いに掣肘し合っています。米国は、中国に対するドル取引を禁止する方向へと、金融制裁の舵を切り、経済面でも、両国の一層の対立激化は避けられない。米国は香港の最恵国待遇を停止して、SWIFTから中国を締め出そうとしている。世界各国は、米国に追従する道を選ぶか、中国依存に固執し続けるか、いずれかの選択に迫られている。今後、国際政治は、ダイナミックな変化を加速させるに相違ないでしょう。

この記事のまとめ

何故、各国が、脱中国を目指すか見て来ましたが、指摘した通り、パンデミック危機のステージが、国際的な係争へと変貌を遂げつつあるからです。武漢肺炎は、世界経済を大きく揺すぶり、大国同士の外交的破局を招来している。我が国にとっても、経済のみならず、安全保障の問題にも直結しかねない、重大な局面を迎えています。冒頭で見たように、武漢肺炎による経済的打撃は、リーマンショックを遥かに凌駕するとの専門家の指摘がある。私達日本人は、「国の再建」に向けて、新たな努力に勤しむ必要があるでしょう。

参考文献

新型コロナパンデミックと世界経済への影響分析:ノンテクニカルサマリー

https://www.jiia.or.jp/strategic_comment/2020-5.html

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