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​複雑な国際情勢をコンパクトにまとめることが出来ないか考えて、私はこのブログを書き始めました。今、世界で何が起きているか、一早く読者の皆さんと情報をシェアしていきたい。その思いから、記事を書くことにしたのです。

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執筆者の写真Masaki Ogawa

悪しき隣人・中国|その悪事を全て暴く

更新日:2020年6月11日


中国の悪事に関して、幾つかに要点を絞ってお話致します。先ず第一に、中国は国際平和秩序への挑戦者であること。第二に、人権や民族の弾圧者であること、最後に、中国の為政者が如何なる悪事を働いたか、Ⅶ部構成に分けて詳説して参ります。中共によるプロパガンダとは裏腹に、中国は国際平和秩序への挑戦者だと言っても過言でありません。中国製の武器が現実に内戦や紛争で使用され、幼児や非戦闘員を含む無辜の市民が大量に虐殺される事態がスーダンで勃発しました。虐殺を使嗾したのは他ならぬ国連安保理の常任理事国である中国当局です。本来ならば国際平和秩序の牽引役たるべき大国が、率先して国際秩序を撹乱している現状に、私は憤りを感じています。スーダンの虐殺を唆した見返りに中国は独占的な石油利権をスーダンから獲得しました。武器製造の輸出規模を激増させて、見返りにアフリカの天然資源を貪る中国の脅威は、アフリカのみならず世界情勢を著しく不安定にしています。中共の傲慢と横暴は近隣諸国との軋轢のみならず、遠くアフリカの地にすら及んでいます。習近平はアフリカを”自国の生命線”とすら呼んでいますが、これは中国自身の利権と密接に結びついているからです。先ず初めに、スーダンのダルフール虐殺の背景にある、中国の許されざるべき振る舞いを見ていきます。


Ⅰ・アフリカに於ける中国の大罪

アフリカ諸国への中国の武器輸出は近年とみに増大傾向にあり、2005年アフリカ51ヶ国を対象に行われた調査では、実に7割の国家が中国製武器を輸入、アルジェリア、アンゴラ、カーボベルデを始めとするアフリカ10ヶ国が新たに中国との武器取り引きへと加わりました。2015年、習近平政権は”10大合作計画”を発表し、中国とアフリカは”運命共同体”であると強調し、民生インフラ整備事業に7兆円を拠出すると表明していますが、スーダンの例を見るまでもなく、元はと言えばアフリカ諸国からの収奪によって成立している欺瞞以外の何ものでもないのです。アフリカ東部のジプチでは中国は基地の建設を進めており、ジブチ・中国両政府は軍事協定を締結し、半永久的な軍事拠点の整備に余念が無いのです。これは2011年にパキスタンでの軍事基地建設に始まる中国の海外への軍事的拡大であり、国是とされてきた”海外で軍を展開しない”とされた方針を、大きく転換する意味を持っています。第12期全人代での習近平の演説”中華民族の偉大な復興”とは、新疆やチベットの弾圧を強化し、周辺諸国と領土領海の紛争を惹起して途上国や紛争当事国に大量に武器をばら撒く、危険な”膨張主義”以外の何ものでもありません。人民網での謳い文句”平和的な南南関係”の実態は、アフリカを始めとする様々な諸国の紛争や対立を惹き起こすものであり、内乱を深化させて収拾不能な虐殺を創り出す”虚構”であると断言出来ます。UNDP(国連開発計画)によれば、正常な南南協力とは”平和的な互恵の意思に基づく支援や協力”を前提としており、武器の輸出で紛争や内戦を唆す中国には、”国際平和”を語る資格は全くありません

ダルフール紛争の悪夢に関して詳述します。スーダン政府及びジンジャウィード、そして反政府組織の間で激しい戦闘が勃発したのが2003年2月26日のことです。ダルフール紛争は世界最大の人道危機であり、死者30万名、難民200万人が発生しました。以下に示す地図の赤い印が虐殺の行われた場所ですが、ライフルや機関砲等の小火器ではなく、ヘリや戦闘機による重爆撃によって”惨禍”が引き起こされている点がダルフール虐殺の特徴です。小国スーダンでは、こうした最新兵器の製造能力は皆無ですから、何処かの国がヘリや戦闘機を組織的に供与しなければ不可能だったわけです。チャド国境近くの特定の地域(スーダン領内ダルフール地域)が”標的”にされているのが地図から読み取れます。この地域は石油資源が豊富ですが、支配権はイスラム系アフリカ人が掌握しており、埋蔵資源の利権を巡る熾烈な争いが続いていました。スーダン政府軍及び、政府支援のアラブ系武装組織ジンジャウィードの虐殺を幇助したのが中国です。石油利権と引換えに、中国は小火器やヘリ、戦車を含む武器をスーダンに輸出しましたが、実にスーダンの石油輸出による収益の80%が、武器の購入に当てられている事実が示す意味は重大です。石油埋蔵地域の住民弾圧と排除殺戮の為に、スーダン政府は中国製武器を必要としていたのです。スーダン国民を”豊か”にするべき石油資源が、中国の思惑によって”市民の血”に代わったのです。

英国BBC放送はドキュメンタリーで、スーダンへの中国の武器供与に関し以下のように報じています。

各国合意の武器輸出禁輸の締結後も、公然とスーダンに武器を輸出し続けていたのが中国です。中国当局を後ろ盾にしたスーダン政府及びジンジャウィードの横暴は苛烈を極めました。スーダン政府は公式にはジンジャウィードの暴虐への関与を否定していますが、政府及び中国による武器と戦略的な支援があったのは明白です。中国はスーダンを武器密売ネットワークの拠点と化し、独裁国家、紛争地帯に武器を非公式に売買しているものと見られます。スーダンにおけるダルフール紛争の影で中国が暗躍していた事実は動かしようがありません。スーダンのような貧しい国家に、現金で高額の武器を売ることは不可能なので、対価として石油を中国はスーダンに要求しているのです。


Ⅱ・虐殺の幇助者・中国

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の公表によると、2011年からの5年間に於ける、中国の武器輸出量は88%増と”異常”に高い数値を示しており、地域紛争や内乱、戦争などの軍事的危機が逆に却って中国を潤す結果となっているのです。中国が本腰を入れて国際協調、及び国際平和を重視しているならば、武器禁輸を守り周辺国家や周辺地域と対話と平和への努力に取り組むはずです。紛争の火種を抱えた国家の資源を収奪し尽くし、引き換えに武器を渡して殺し合いをさせる。周辺諸国とは領土問題を惹き起こし、軍事的に強硬な姿勢を示す。中国の戦略とは、武器の輸出と引き換えに資源を貪り尽くし、近隣諸国と軋轢を惹き起こして軍事的な緊張を高めて、自国の武器を売り捌くことだと構図が透けて見えます。人為的に”紛争”を唆し、近隣との”緊張”を生み出すことによって、対価や利権、資源などが中国の手元に入るという構図が見えてくるのです。習近平政権の一帯一路(人民網)の美名の裏にあるのは、チベット虐殺であり、新疆弾圧であり、ダルフール虐殺の幇助なのです。習近平と国連の潘基文事務総長と会談では、潘基文は”中国が数多くの発展途上国への支援において重要なリーダーシップを発揮、国際平和事業に貢献した(人民網)”と表明していますが、その実態は現実と全く懸け離れています。加えて中国は国連の特定通常兵器使用禁止制限条約で禁止されている”過剰に殺傷力の高い兵器”を配備かつ運用していると米軍事シンクタンクは懸念しています。人間の網膜を焼いて失明させる”盲目化レーザー兵器”がその代表です。


崩壊したカダフィ旧リビア政権に武器を輸出した形跡が認められる中国ですが、反政府派の勝利によってリビアは国土が灰燼と化しました。中国政府は禁輸を破ってまで旧政府に武器を供与しておきながら、政権転覆劇の際にはカダフィに手を貸しませんでした。中国が武器を輸出する当事国は貧しい軍事国家や独裁国家が主体であり、資源以外に対価を中国に払えない国家ばかりです。増して、武器禁輸制裁を受けている国に堂々と自家製武器を産出資源を対価に輸出しているのが実態で、通貨によって中国製武器の輸入国家が対価を支払っている形跡は皆無です。軍事国家や独裁国家は”軍事力”が政治的及び軍事的なな基盤ですから、資源の大半を物々交換してでも、中国製武器を輸入せざるを得ないのです。SIPRIの公表では武器輸出総量は中国が世界第三位ですが、対価をもって輸入国(パキスタンを始めとして、先述のアフリカや中東の独裁国家なども含まれる)が中国製武器を買い入れた事実はありません。つまり、武器と資源を交換にしていて、中国製武器は国際武器市場では買い手の付かない粗悪品だということです。ですが銃や戦車、戦闘機などは後発国では充分な”凶器”足り得るのであって、スーダンを例に取ればダルフール虐殺の直接の引鉄になっている事実は否めません。世界が相手にしない独裁者や軍事国家に宗主権の如き支配力を及ぼし、輸出の対価を省みず、その代わりに資源を貪り尽くし、当事国に内戦を誘発して自国の劣悪な武器(但し殺傷力がある)を供与する。これが平和の取り組みの一環だと中共が宣伝するなら、噴飯物だと断じることが出来ます。


2008年、”人道に対する罪”を理由に、ICC(国際刑事警察機構)はスーダンのアル=バシール大統領の逮捕状を請求しましたが、肝心の国連軍の派遣によるスーダンの治安回復は、拒否権を持つ中国の妨害に遭ったのです。ダルフール紛争の”影の立役者”が中国であり、アル=バシールによる虐殺の後ろ盾もまた中国だからです。”中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年記念行事”と華々しく銘打った、中国主催の2015年の国際式典には多くの国家が列席を見合わせましたが、国際指名手配を受けているスーダン元首アル=バシールは中国に招聘されて出席しています。世紀の”虐殺者”アル=バシールを”反ファシズム式典”に列席させる中国の異常さには呆れますが、韓国の朴槿恵大統領やコンゴ民主共和国のジョゼフ・カビラ大統領、あろうことか国連総長の潘基文も列席するなど、国際社会の常識から懸絶した国家の”集大成”といった式典だったことは明白です。


国際指名手配を受けているスーダンのバシールが自国内で軍事的優位にある限り、軍事独裁は永続し、スーダンの無辜の市民が嬲り殺され、中国が裏取引で独裁を幇助し続ける構図も揺るがないのです。バシール大統領は反ファシスト記念式典に中国政府から招聘を受けましたが、ファシストであるバシールを”反ファシスト”式典に呼ぶ中国当局の神経の異常さが際立つ結果が明らかになりました。チベット人虐殺者のファシスト中共が、スーダン市民虐殺の首魁であるファシストであるバシールを反ファシスト記念式典”に呼ぶという奇妙な事実も、以上の叙述からご理解頂けたかと思います。人民網での謳い文句”南南協力”への中国による寄与は虚偽であり、実際には紛争を惹起し、武器を供与して自国の利益を貪る”平和への挑戦者”が中国だということです。ここ5年の武器輸出の異常な伸びは、国際社会の平和理念に反して、中国が自国製武器をを内乱や紛争当事国に近代兵器を流していることを裏書きしています。スーダン政府の住民虐殺を武器輸出で支えていたのは中国です。スーダン国民の虐殺に対し抗議も懸念も示さなかったのが中国という国の本質です。中国の描く”民族の夢”とは欺瞞と傲慢以外の何物でもなく、覇権主義もしくは膨張主義と言い換えても差し支えありません。ダルフール虐殺の幇助と武器売買の現実を目の当たりにした以上、国際世論を虚偽で操作することは不可能だと言って差し支えないのです。


Ⅲ・中国によるチベット人へのジェノサイド

中共も、かつてのように、国際世論を恐れて表立ってGenocide(虐殺)が出来ないことは理解しています。その分、チベット統制に対する強化が急ピッチで進行しているのです。直接、間接の如何を問わず、現在までに中共がチベットに対して行ってきた残虐な弾圧は枚挙に暇が無いほどですが、この節では特に、核廃棄物投棄と、2008年のチベット騒乱について以下で検証します。中国核国営公社は、チベット高原への核廃棄物処理施設の建設と核汚染物質の投棄を認めています。近年の報告では、核ミサイル基地の建設も明らかになっています。これらはチベット人側の合意など、全く無かった点に注意が必要です。1995年7月の新華社通信では、チベット自治州のココノール湖附近に核汚染物質は存在するが、環境被害は無いと主張しています。チベットは中国の高レベル放射性廃棄物(HLW)の”ゴミ捨て場”にされていたのです。こうした中国当局の傲慢と暴挙は、もはや”弾圧”の定義を跨ぎ越して、”殺戮”や”民族浄化”の呼び名が相応しいかと考えられます。


一方で2008年3月10日、遂に恐れていた事態が勃発します。チベットのラサ市で、暴徒と化したゲルク派のチベット仏教徒が武装して暴動を惹き起こし、漢族を相手とする大規模な騒乱に至ったのです。ダライ・ラマが認める通り、チベット青年会議(急進独立派)の暴走でした。”暴力に対する暴力による報復”が表面化してきたことを憂慮したダライ・ラマ14世は、重大な懸念と遺憾の意を述べましたが、暴力に対する反対声明を発するのが精一杯でした。チベット騒乱は、死者203人、負傷者1千人以上、5715人が拘束という悲劇的結末で、当局による事態の収拾が図られました。この暴動の意味するところは重大です。ダライ・ラマ14世の亡命政府による、教唆的なテロだと主張する中国当局の公式発表は”虚構”であって鵜呑みに出来ませんが、チベット現地では、もはやダライ・ラマの中道路線がほころび始め、急進活動家の台頭を許す結果を招来しているのです。”非暴力”による抵抗を唱導するダライ・ラマ14世は、”焼身自殺”の連続というジレンマに陥っているかのようです。暴力を禁じたが故に、焼身自殺という極限の抵抗しか選択肢が無かったチベット人が、”一斉蜂起”する道を選択するとしたら、どんな悲劇が生まれるか想像を絶します。中国当局の主張する、”チベット人によるテロリズム”とした表現は噴飯物の虚構ですが、散発的なデモであれ、チベット人への過大な弾圧強化の口実を与えかねない、重大な要因と化すとも考えられます。


弾圧と懐柔策によって分裂するチベット社会について詳述します。中共は、仏院の破壊を初めとして、僧侶の拘禁と拷問、思想改造を通じて棄教(還俗)させ、チベット仏教を根本から破壊しようとしています。失われていくチベット文化に対し、チベット人は国内外でCommunityを形成しつつありますが、中共は弾圧と懐柔の二面から”チベット文化”の破壊を続けています。転生ラマ、ゲンドゥン・チューキ・ニマ (དགེ་འདུན་ཆོས་ཀྱི་ཉི་མ་)の失踪は中国当局によるものです。転生ラマとは、分かりやすく言えば”転生霊童”すなわちパンチェン・ラマの後継者になる少年を指しています。中国当局から見れば、ニマ少年が転生者の地位に就けば、ダライ・ラマがチベットで宗教的主導力を保持し続ける意味を持ち、到底容認出来ないというわけです。中国当局はダライ・ラマに対抗して傀儡ラマを擁立し、牽制を図っています。チベット人の大半は傀儡の存在を認めておらず、ニマ少年をパンチェン・ラマだとしています。”分裂主義者”から守るために保護していると中共は発表していますが、恐らくニマ少年(当時6歳)は殺害されていると思われます。傀儡ラマであるギェンツェン・ノルブ(ཆོས་ཀྱི་རྒྱལ་པོ་་)は胡錦濤と会見して恭順を示していますが、これは中国政府が仕組んだ茶番であり、政界ポストをノルブに約束すると同時にチベット仏教を上から懐柔し、統制しようという魂胆です。2012年のダンゴでの騒動など、下からの”突き上げ”に対しては強硬策を講じて弾圧し、傀儡ラマを創り出してチベット社会を分断する。ごく少数の親中派のチベット人には政府の予算を賂し、教化されない民衆には中国語を強制して母国語を禁じ、”毛沢東”の肖像を崇めよと強制する。これが現在の中共のやり方です。


信教の自由の侵害と焼身自殺による抗議に関し、言及致します。最近の5年間に、138名のチベット人が焼身自殺しています(Radio Free Asiaによる)。私はこの事実を、一般的な自殺とは区別して考えています。「愛国再教育」共同委員会なる組織が縱橫にチベット社会に張り巡らされていて、政治批判を封じる監視装置として”分裂主義者”を取り締まっています。つまり中共は、密告奨励やデマ、脅迫などを通じてチベット人社会を操縦し、いずれ破壊しようという魂胆なのです。チベット人には言論や信教の自由は全くありません。信教を社会的な紐帯とする国家では、禁教を強いることは民族的なIdentity(自己同一性)を否定することに繋がります。長期に渡ってIdentity Crysis(精神的危機)を経験させることによって”絶望感”を強いるのは、重罰的な拷問に等しいのです。チベットの人々から心の糧を奪うことは、極めて悪質な”精神的な暴力”と言い換えても同じなのです。焼身自殺は病的な状態から惹き起こされるものではなく、極限の悲嘆と絶望へと追いやられた人間の”最後の抵抗”なのです。中国共産党への抵抗の意思は示しつつも、焼身自殺には”暴力性”など皆無であるため、当局も取り締まりは出来ません。然しながら焼身自殺が横行しないよう、当局が配慮した形跡は皆無です。信教の自由はおろか、デモや集会、発言すら禁じられた社会で、人間は如何にして自己の尊厳と自由意志を保っていけるというのでしょうか。自らガソリンを被って、自らに火を放つほどに追い詰められた人々を見ながら、弾圧者への抗議の意思を掲げない人間は圧政者と同類の人間です。今一度、チベットの人々が平和を大切にし、暴力によって抗ってはいない点を考慮して下さい。殺生はしない。それが仏教の教えです。世界でも比類がないほど穢れが無く、純粋で清いこころの持ち主であるチベットの人々に対して、当局が為した悪事は歴史に刻まれなければなりません。


Ⅳ・ウイグル社会の破壊

ウイグル社会には、中国共産党の監視網が行き渡っています。夥しい数の監視カメラや、スマートフォンの遣り取りを傍受する高度な技術、個人を識別する網膜のデータ収集など、中国は惜し気もなく予算を投じて、高度な監視網をウイグル社会に構築しています。何故、中国は、これほど過剰にウイグル地区を警戒するのか。テロを警戒し取り締まりを強化する。それが当局の表向きの説明ですが、行き過ぎた監視が意味する理由は、他にもありそうです。ウイグル社会は沈静化しており、暴動や騒擾の兆しも無く、テロも起きていません。では何故、ウイグル地区に中国は過敏になっているのか。更なる合理的な説明が成されるべきです。ウイグルに対する当局による弾圧は常軌を逸しており、昨今では、中国共産党は極端に神経過敏になっています。今回の節では、先ず、ウイグル弾圧史を紐解き、最後に、中共のウイグル社会への弾圧の理由を、ウイグル地区の地政学的な側面から迫る予定です。


日本ウイグル協会は、ヤルカンド事件を告発しています。これも精査する必要があります。元はと言えば、都市騒擾や暴動、テロなどを引き起こしたのは、中共による圧政が原因です。日本ウイグル協会の文書には、ヤルカンド事件で数千人の虐殺があったと報じられています。以下に、全文を掲載します。

https://uyghur-j.org/statement/20150727_yarkand.pdf


以上の記事から、一部抜粋すると、事実の経緯を踏まえ、以下の通りに要約出来ます。ラマダン期間中に中国当局は、 7 歳の少年と 72 歳の老人を含む家族 5 人を、 ウイグ ルの伝統衣装であるスカーフを女性が着用しているとして射殺し、 この残虐な行為に抗議したウイグル人たちにも発砲し たことがきっかけとなっています。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によれば、 その後も武装警察はヤルカンドで無差別の発砲を続け、 数千 人規模のウイグル人が虐殺された のです。これは、2014年7月28日の出来事です。この事件以降、中国当局は、テロ対策と称して、ウイグル人への迫害を強めていきます。 更に、高度な監視網による人権剥奪について詳述します。世界ウイグル協会によれば、現在、ウイグル内に500箇所近い収容施設が存在し、100万人を超えるウイグル人が拘束されているとのことです。 ワシントンに本部を置く、東トルキスタン国民覚醒運動(ETNAM) も、衛星写真の解析から、同種の結論に至っています。一体、この施設では何が行われているのか。中国政府の公式の発表では、「収容所でなく、民生施設であり、職業訓練やテロ思想を放棄させる為の施設である」と欺瞞に満ちた回答をしています。結論から言えば、これは”同化政策”であり、”民族浄化”及び”虐殺(ジェノサイド)”と言っても過言ではありません。これは、現在進行形で進む、中共によるホロコースト以外の何物でもありません。 監視カメラ「DS-2CD7A2XYZ-JM/RX」を使った監視網がウイグル社会全体に張り巡らされていて、ウイグル地区は極めて高度な監視社会になっています。監視カメラを開発したのは、中国企業の ”HIKVISION ”であることも、露呈しています。監視カメラ「DS-2CD7A2XYZ-JM/RX」は、ウイグル人の思想・信条の自由及び信教の自由を脅かし、人権弾圧の為に開発された、特殊なカメラです。


ウイグル人の拘束と、強制不妊及び臓器摘出を知った私は脅威でした。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA) によれば、”再教育施設”でウイグル人の死亡が確認されたと、初めて伝えています。警察当局の公式の発表を受けての報道ですが、数が少なく(150人のウイグル人が半年で亡くなった)、死亡者数を偽っている可能性が非常に高いと見られます。 既に、ヒューマン・ライツ・ウォッチや米国務省 が指摘する通り、ウイグル人収容所では、拷問や虐待が行われている可能性が極めて高いのです。ウイグル人男性が警察当局に連行されるドキュメンタリー映像を以下に記載します。

https://youtu.be/gGYoeJ5U7cQ


ウイグル地区に関する外国への報道規制は著しく、亡命したウイグル人からの証言録、及び衛星写真などから、欧米の人権活動家や公的機関は、ウイグル弾圧の実態に迫ろうとしています。 2016年8月に共産党委員会書記に陳全国が選出されましたが、ウイグル人の拘束に大規模に関与しているのは、 他ならぬ陳全国です。後に詳述しますが、この弾圧には、国家主席の習近平の公式な指示と通達があったことが判明しています。 The Population Research Institute のよれば、収容所に入れられた女性には不妊処置が取られ、また、 ロンドンの特別組織チャイナ・トリビューナルによれば、 中には生きたまま臓器が奪われたウイグル人も存在するとの報告を行っています。これは中国が巨大な臓器売買のネットワークを有しているのを意味します。

https://www.news.com.au/world/asia/map-exposes-the-extent-of-chinas-human-farms-as-tribunal-slams-1b-forced-organ-harvesting-trade/news-story/ef34edd7ce9ba9ebe02ad24192494aa8


チベットの70年史を考えれば、ウイグルも同じ末路を辿ると思います。ウイグル弾圧に関する公文書も出てきています。文書には、習近平氏の指示があったと書かれています。当局曰く、収容所ではなく、民生施設であり、ウイグル人は、その恩恵を受けているとのこと。私には、にわかに信じがたいです。 中国は、国防費より治安維持費の方に予算が多く割かれています。それもこれも、膨張主義の為せる業です。NYタイムズの告発した文書に書かれている通り、習近平による公式の通達である以上、習の旗振りの下に、過剰な治安維持がウイグルに敷かれています。繰り返しになりますが、ウイグル社会には、中国共産党の監視網が行き渡っています。夥しい数の監視カメラや、スマートフォンの遣り取りを傍受する高度な技術、個人を識別する網膜のデータ収集など、中国は惜し気もなく予算を投じて、高度な監視網をウイグル社会に構築しています。何故、中国は、これほど過剰にウイグル地区を警戒するのか。テロを警戒し取り締まりを強化する。それが当局の表向きの説明ですが、行き過ぎた監視が意味する理由は、他にもありそうです。ウイグルに対する当局による弾圧は常軌を逸しており、昨今では、中国共産党は極端に神経過敏になっています。

NYタイムズは、衝撃的な暴露記事を掲載しました。ウイグル自治区への弾圧は、習近平氏による公式の通達だったと報告しているのです。以下のURLは、NYタイムスが公開した文書です。私はこれが偽りの情報であるとは考えにくい。習近平氏は、この内部文章に、「容赦するな」と指示を出しています。現状では、ウイグル人=テロリストと言わんばかりの議論を展開する人もいるのです。民生施設というより、監視社会の究極形態をウイグルに作り出している。これは現在の香港と同じ現象です。以下、英文ですが根拠を示しておきます。

‘Absolutely No Mercy’の意味するところは、「情け容赦はするな」と言うことです。これは公式の通達であり、先日、TVでも報道されていました。これは何を意味するのか?私は習近平氏の関与を否定出来ないと考えます。


改めて地図を広げてみると、ウイグル地区の広大さに目を見張ります。1950年代から漢族( 新疆生産建設兵団 )の入植が続いたウイグル地区は、1990年代にはウイグル全体の人口構成比の約40%を占めるに至り、当地に駐留する人民解放軍と合わせると、ウイグル人の数を凌駕するに至っています。2009年以降、弾圧を強めた中国共産党によって、現状では、数十万のウイグル人が強制収容所に収監されており、2019年現在、米国を始めとする各国の強い批判を受けています。中国がウイグル人に”自治権”を認めた歴史的な形跡は皆無であり、文化的ジェノサイドを公然と進める背景には、冷淡な国際社会の無関心に図に乗った、中国共産党の傲慢さが見て取れます。残念ながら、日本人の中にも、作為的に、 ウイグル人=テロリストと言わんばかりの議論を展開する人もいます。中国は民生施設と呼んでいますが、監視社会の究極形態をウイグルに作り出しています。これは、現在の香港と同じ現象です。現状、日本を初めとして米英独を含めた23ヵ国が中国当局に対し、圧力を強めています。 天然資源(石油及び天然ガス)に恵まれたウイグル地区は、中央アジアに繋がる要衝であり、中国の”核心的利益”の筆頭に上げられます。ウイグル地区は、習近平の掲げる”一帯一路”に於いて、重要な位置を占め、地政学的に、極めて重要な地域と言えるでしょう。中国の生命線と言うべきウイグル地区は、独立はおろか、自治すら認められず、チベットと同じく、悲惨な末路を辿ると言えるでしょう。この問題に関し、英国はウイグル地区に監視団を派遣させろ、と中国政府に言っています。国際的に、非常に関心を集めているのは周知の事実です。日本や米英独など23カ国は、ウイグル人の拘束を止めるよう、中国政府に圧力をかけています。これに対し、ウイグル人の弾圧は存在しないと論を張る日本人が存在します。私は、これは誤謬だと思います。”ウイグル人=テロリスト”の図式を使うのは、中国に弾圧の口実を与えるだ けなのです。


Ⅴ・中国による臓器売買

日本国内にも、中国での臓器売買を周旋するNPO法人(所謂、臓器ブローカー)が存在しています。日本の国法では、臓器の周旋に当たっては、その対価を得てはならないと決められていますが、所謂”移植ツーリズム”に関わるNPO法人が複数存在していることは、私には確認が取れています。臓器移植自体、アメリカや日本を初めとして、各国で行われています。しかし、オンデマンドでの臓器移植は不可能であり、適合するドナーが現れるまで、非常に長い時間が掛かるのが実情です。では、何故、中国ではオンデマンドでの臓器移植が可能なのでしょうか。中国で臓器移植が急増する理由の背景には、違法な臓器源があるからです。今節では、中国はどのようにして、急増する臓器移植のドナー源を確保しているのか、実態を暴くと共に、現代のホロコーストとも呼ぶべき中国の臓器売買を糾弾していきます。イスタンブール宣言とは、国際移植学会によってイスタンブールで開催された国際会議で採択された宣言です。臓器売買・移植ツーリズムの禁止、自国での臓器移植の推進、生体ドナーの保護を目的としたものであり、日本でも、この宣言を受けて、臓器移植法が改正されています。2018年12月、静岡地方裁判所で一つの裁判が結審しました。中国に渡航して、腎臓移植を受けた男性を、浜松医科大の医師が診療拒否した問題で、原告の訴えを退け、移植ツーリズムによって移植を受けた者に対する、病院側の診療拒否は妥当であるとの判決が下されたのです。これはイスタンブール宣言に照らしてみても、その趣旨を踏まえた判決だと言えます。また、新潟県では、 平成25年6月定例会(陳情第6号)にて、「違法な臓器生体移植を禁じることを求める意見書提出等に関する陳情」が出されています。 ―https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/gijichosa/1356761188091.html?fbclid=IwAR1wsWb9_p8Z-LA3UBcqn50uNap3anBYgXREmcazvz-wmLeLUnIgMXt1mj4


然しながら、冒頭で述べましたが、移植を仲介するNPO法人が存在しているのも事実です。中国への移植ツーリズムが絶えない理由には、中国国内の事情が絡んでいます。次節では、一体、移植用の臓器が何処から来るのか見て参ります。解放軍総後勤部 元衛生部部長 白書忠の証言によれば、 「江沢民主席は、移植手術のための腎臓を売ることにかなりの力を入れ、指示しました。江沢民が命令 を下してから、我々はすべて法輪功修煉者に対して かなりのことをしました。腎臓移植をしたのは軍だけではありません」 とのことです。― http://www.upholdjustice.org/node/260


1999年7月以来、7000万人とも目される、法輪功学習者が弾圧され、一部の学習者は収容所に送られました。拷問や虐待の末に殺害された、夥しい数の法輪功学習者の臓器が、中国での臓器売買に附された蓋然性は高いと見ていいでしょう。なぜなら、近年の中国に於ける、臓器移植の増加と見事に符合するからです。 「中国臓器収奪リサーチセンター」(COHRC) による調査報告書では、臓器移植のオンデマンドが可能になった背景には、夥しい数の「良心の囚人」の虐殺があったと述べられています。 中国国際移植ネットワーク支援センター (現在はアーカイブ化されている)の記事によると、 「私どもの部門では、肝臓 摘出において、温阻血時間を短縮し、臓器の拒絶率を下げ、移植臓器の機能回復を円滑にするため に、腹部臓器の迅速な併合切開技術を採用してい ます」 との記述が見られます。”併合切開手術”の意味するもの、それは、生きたまま臓器を取り出し、オンデマンドで、臓器移植を行っているという事実です。一体、ドナーは何処から来るのでしょうか?脳死では不可能な移植も、中国の病院では、生体源をドナーとすることで、実施されているのです。CHINA TRIBUNAL(中国民衆法廷)最終裁定では、以下のように声明が出されています。

「10年以上におよび、中華人民共和国の邪悪で残虐な行為は、一般の問責を浴びてきたその残虐さと邪悪さは中世の拷問・処刑に匹敵する。我々全てが生息する地上では 極端に邪悪なものが一時的に権力を握っている。現代に知られる最古の有数な文明国を、現在は邪悪が司っている。我々が尊重し学び取れるはずの国がである」 ―https://chinatribunal.com/


参考までに、SMGネットワークが公開した、以下の動画をご視聴下さい。

https://youtu.be/YOVqfTD1kj0


以上、見てきたように、中国の臓器移植は、ジェノサイドの上に立脚していると断言出来ます。法輪功学習者を初めとして、チベット人、ウイグル人がメディカルジェノサイドの犠牲となっています。私はこれを、”悪魔の所業”と考えます。ナチスはかつて、ユダヤ人を虐殺し、”石鹸”を作っていました。現代に於ける中共のホロコーストは、国際社会が黙視していいレベルを超えています。中国への移植ツーリズムは根絶すべきであり、国際社会は一致結束して、常軌を逸した中国の臓器売買システムを破壊すべき時が来ていると言えましょう。


2019年9月24日、国連人権理事会(UNHRC)で、中国に於ける国家的な臓器狩りに関する告発が議題に上りました。2019年6月17日の英国民衆法廷での最終裁定では、70人余りの証言者の生々しい証言を受けて、「中国では臓器狩りが組織的に行われ、罪の無い人々が大量に虐殺されている。これはナチスに匹敵する国家犯罪である」との要旨で採決が下され、国際世論に訴えていくことを確認しています。英国では世界保健機構(WHO)に対して、中国での臓器狩りに対して、上院議会が圧力を掛け始めました。2019年10月には、議員立法法案として、倫理に反する移植ツーリズムを禁止する法案が出されています。カナダ及び米国でも動きが加速しています。カナダでは臓器売買を禁止する法案が両院満場一致で可決、米国では、2019年8月に米共和党全国委員会(RNC)が一早く中国を告発し、 「中国での非自発的なドナーからの臓器収奪は重大な人権侵害である」 との決議を通過させています。 翻って我が国ではどうか?主要メディアは沈黙し、臓器狩りの問題が、国会で大きく取り上げられた形跡はありません。何故、メディアを始めとして、日本政府や議員が黙視に近い態度を取るのか。私には理解し難いことであり、納得の出来ない事態です。本節では、世界が告発する臓器狩りの帰趨を見定め、黙視し続ける日本のメディアに楔を打ち込みたいと思います。中国政府の過剰なインフラ投資によって、飛躍的に成長した中国の臓器移植産業の利益は、年間10億ドルだと推計されています。一部の報道では、移植ツーリズムに関わる主要国は、韓国や中東であるとの指摘がされています。生体ドナーが安定的に供給される為には、宗教や信条の迫害と、巨大な強制収容所の建設、そしてメディカルジェノサイドを可能とする技術の確立が不可欠です。2000年以来、法輪功への弾圧を開始した中国当局は、軌を一つにするかのように、中国国内の医療インフラへの莫大な投資を開始します。明確なのは、これは国家犯罪に相当するということです。私の目には、法輪功への弾圧は、「この種の移植ビジネスを前提したものでは無かったか?」との疑念が拭えないのです。移植ブローカーの所在地は、 中国遼寧省瀋陽市鉄西区北中路27号534室にあります。此処を拠点として、中国は国際的な臓器売買の国際的なネットワークを築いて来ました。


注)現在では、当該サイトはアーカイブ化されています。


生体源が法輪功から、ウイグル人へと拡大していくにつれ、 自主的ドナーのみを臓器源とすることは不可能であるという疑惑が浮上し、中国は世界的に追求され始めたのです。私は、これは国家の組織的な犯罪であり、法輪功弾圧以前に、臓器売買の利権を作り上げようとした、計画的な犯罪だったと推測しています。冒頭で見たように、欧米各国は一早く、この問題に機敏に反応しました。一方で、日本ではどうか?主要メディアで報道されることも稀で、私達が情報に接する機会も非常に限られています。 中国・民衆法廷の最終裁定は、「この野蛮な臓器売買を停止させろという国際的な声を駆り立て、世界的な措置への引き金となっている。多くの者は「あえて見ないふり」という選択肢はもはや存在しないことを認識している」と声明を出しています。 国際的な弁護士で「中国民衆法廷」で顧問を務めたハミッド・サビ氏は、精力的に各国のメディアに喚起を促していますが、 迅速に動いたのはNewsWeek、BBC、ロイター通信等のメディアです。試しに、「朝日新聞 中国 臓器狩り」と検索エンジンにでも入れてみて下さい。彼等は報道する気がないか、中国の提灯記事しか書けない腑抜けです。私は日本の主要メディアが黙視するのに苛立っています。朝日新聞は論外ですが、主要メディアが鳴りを潜めていることは、非常に危険な兆候だと考えています。これで「人権国家」と日本は主張出来るのか。私には大いに疑問です。正しく事実を報道し、世論に働きかける使命は何処に行ったのか?私には「日本のメディアが死んでいる」としか思えないのです。


Ⅵ・香港弾圧

私は、香港こそが、大陸に於ける自由主義の最後の砦だと考えています。香港の民意が懐柔され、自由が破壊されることは、決して他人事ではありません。香港は今、かつてない激動期に差し掛かっています。香港に於ける中共の専制は、弾圧と殺戮を通じて達成されつつある。私達日本人の間近で、大きな悲劇が生まれているのです。自由主義陣営に属する私達には、これは異様な光景だと映る筈です。血塗られた中共の圧政は、今、正に、リアルタイムで暴威を奮っている。果たして日本人は、香港の悲劇の傍観者であってもいいのでしょうか。国際社会が、専制国家中国の残虐性を容認したがために、チベットやウイグル、内モンゴルの悲劇が生まれたと言っても過言ではありません。ゆうに120万人を超えるチベット人が虐殺され、100万人のウイグル人が強制収容所に送られたのです。人類は、中共と敵対関係にある。現在の香港問題を考える際には、先ず、初めに、以上の断り書きを綴っておかねばなりません。私達は、意を決して、中共の圧政と戦う覚悟を持たなければならないのです。恐らく、人類史上、類を見ない邪悪な存在である中共を、私達が葬り去らねばならない時期が近付いています。本稿では、先だって記載した記事を更に掘り下げ、香港問題について詳述していく予定です。

大陸に於ける、自由主義の最後の砦だった香港は、2019年11月20日に事実上陥落しました。今現在、香港民族党 (Hong Kong National Party )の指導者、陳浩天氏の安否も定かではなく、香港民族党の標榜する、中国からの香港独立と、香港共和国の樹立は、習近平政権によって握り潰されたのです。ネパール訪問中だった習近平は、中国に対する、如何なる分裂主義的な主義主張であれ、「骨を粉砕することで報いる」と、声明を出しています。この発言の竿指すところは、明らかに、香港デモを牽制しているものかと思われます。”雨傘革命”以降の香港の動静を探りつつ、これから先の香港の行方を見定めていきましょう。

1997年の英国から中国への返還の際、一国二制度が担保され、今まで香港は自由主義を保って来ました。50年間を目処に、香港には高度な”自治”が約束されていました。周知の通り、香港は民主的且つ自由主義経済圏にあり、国際的な金融市場の一翼を担って来ました。然しながら、西側諸国と人権の普遍的な価値観を共有する香港は、中共の膨張主義的な振る舞いとは、水と油の関係でした。チベットやウイグル、内モンゴルを始めとする周辺諸国を侵略し、半世紀をゆうに超える弾圧と民族浄化を継続してきた中共が、香港にも魔手を伸ばすのは時間の問題だったのです。若い香港の急進派は、自らを”香港民族”とのアイデンティティに位置付け、中国からの分離独立を掲げて旗幟鮮明に宣言したのでした。イデオロギーではなく、メンタリティ的な、”香港民族主義”に求心を図った陳浩天は、2016年3月28日、遂に”香港民族党”の樹立へと動いていきます。然しながら、香港基本法に反するとの当局の意向で、 2016年の議会選挙で、陳浩天は出馬が認められなかったのです。私は、日本の為政者が、香港への中共による弾圧に、些かも深い懸念を抱いていないことに、深い絶望感を味わっています。中共は内政干渉と突っぱねるでしょう。然しながら、「人権」というものは、国の垣根を超えて、人類の普遍的な価値観であるべきです。何故、日本の政治家は声を挙げないのか。何故、彼らは抗議しないのか。私には苛立ちしか感じられないのです。国際的な視野が狭窄した日本の政治家達が、中共の暴政を間接的に容認してしまっている。本来ならば、国際世論に働きかけて、中共の非道を糾弾すべきです。”親中派”などと小賢しい売国政治家が、日本の政界に瀰漫しているのも原因の一つです。

急進派への政治的圧迫が、2018年7月17日に始まります。香港保安局の李家超局長は、治安上の問題(都市騒擾・暴動など)から、香港民族党の活動を非合法だと決めつけ、政治活動の手足を縛っていくこととなります。同年7月22日に、急進派への政治的封殺に憤激したデモが多発します。林鄭月娥 氏が北京政府の傀儡であることは、香港では常識となっています。香港外国特派員協会での香港民族党の講演に容喙し、デモの引き金になるなら香港民族党の活動を全面的に禁止する旨、香港保安局は通達を出します。陳浩天は信念の人間であり、如何なる弾圧があろうと自分は主義を曲げることはないと切り返したのでした。次世代を担う若者達が、未来を悲観することなく、自由を護る戦いに散っていく。それも、命を省みずに戦っています。正に、同じ光景が、30年の時を超えて、天安門前で繰り広げられていました。日本の国策の誤り、米欧の楽観主義が、現在の香港の悲劇を助長したとも言えるでしょう。再び国際社会が沈黙すれば、自由主義は崩壊してしまう。私は、この点を、何度も強調したい。中共を容認すれば、自由主義は滅びる。それが歴史に棹さす流れなのです。

デモに参加する多数の学生や市民、団体には、相互に干渉しないとの暗黙のルールがありました。2019年香港民主化デモの特徴は以上のように、和理非派(穏健派)と勇武派(急進派)が手を携えていた様子が伺えます。デモ隊の目標は”五大訴求”と呼ばれ、逃亡犯条例改正案の完全撤回をはじめとして、普通選挙の実施と、警察機構の暴力を監査すること、デモは暴動とは異なることを認めさせることなど、明確な目的を持って遂行されていました。

香港理工大を最終拠点とする、学生たちの抵抗の凄まじさを、以下のビデオで見て下さい。

10月20日時点での逮捕者は2603人、負傷者は推定1300人、起訴された者は467人、死者は150人以上に上ると推計されています。警察はデモ参加者の女性の死体を”自殺”と公表し、他殺ではないと言い逃れをしていますが、恐らく拘置所で暴力死させられた可能性が否めないのです。凶暴な暴力装置と化した警察機構への市民の怒りは凄まじく、デモは巨大な渦となって拡大していきます。私は、この一連の流れを鑑みて、香港デモは、明らかに、「自由主義」を護る戦いだと、デモ参加者一人一人が認識していたように感じています。これは一種の、”代理戦争”です。清朝が辛亥革命で倒壊したのを彷彿とさせますが、香港民衆の怒りは凄まじく、米欧や日本の共有する価値観を、香港のデモ隊が命賭けで護ろうとしている。私には、そう映るのです。冒頭で書いた通り、香港デモが、日本の我々とは無縁でないというのは、以上の理由からです。私は、香港で今起きている事象は、自由主義と全体主義の闘いだと考えます。米中の軋轢を持ち出すまでもなく、世界の再編に向けた端緒であると考えています。歴史に学んだ陳浩天は、”民族自決”の闘いを止めることはないと、主義主張を貫いています。彼の立脚する民族とは、”香港民族”であると、標榜しているのです。と言うのも、世界の対立の構図が、香港を”雛形”として、説明が可能だからです。”民族”の自主独立と主権、自由と公平を求めるデモの意味するものは、無辜の民族を踏み躙る中共の横暴に楔を打ち込む契機であるからです。人権を踏み躙るならず者の集団を国家とするのか、自由と博愛に根差した価値を紐帯にするのか、今、正に、世界が直面する問題の縮図を、香港デモが体現しているからです。私達日本人に突きつけられた、歴史的な課題を、香港の若者にだけ担わせて、無関心であっても良い筈がないと、私は考えています。自分が香港の人間であれば、私は当然デモ隊に加わり、中共の圧政と向き合っていきたいとすら考えています。現実に対し、刮目して悪政に抗議し、場合によっては命を賭けねば守り通せない。残酷ですが、世界の歴史がそれを、裏書きしているのです。


私達、日本人は、粘り強く国際社会に発信しなければなりません。私は無関心や沈默こそ、”自由主義の死”を意味することだと考えているからです。言論を封殺された社会の怖しさを、私達は、よく考えておくべきなのです。自由主義の沈黙は、我々が普遍とする価値観の死を意味しています。私は、世論に働きかける意図を持って、この記事を綴っています。”隣人”の痛みを知り、命賭けの声を聞き捨ててしまう冷淡さは、私にはありません。そして正しく日本人であれば、それが可能だと信じているのです。何者にも惑わされることなく、邪悪を糺し、義の為に献身する。古来より日本人が美徳とした、”大和魂”は生き残っている筈です。未だに緊張の続く香港情勢を見て来ましたが、現在進行形である点に注意が必要です。世界中に瀰漫する、中共の独善的な価値観に叛意を決した香港市民の、命を賭けた闘いを、我々も同様に貫けるかどうか。自由や平和を尊び、必要とあれば”声”を上げることが出来るかどうかに懸かっているからです。


Ⅶ・この記事のまとめ

江沢民、李鵬らの共産党指導者は、スペインの裁判所の審理を経て、チベット人虐殺の当事者として、国際刑事警察機構に”人道に対する罪”を理由に国際指名手配を通告されています。2013年のことです。然しながら中国当局の猛反発を受けて、訴追を断念した経緯が報じられました。ICPOがどう判断するかは分かりませんが、近い例ではピノチェトの例もあります。いずれにせよ彼らは迂闊に国外へ出れば、逮捕される可能性があります。国際社会は、江沢民や李鵬らが虐殺者”だと知っているのです。事の発端は2006年のナンパラ銃撃事件です。中国当局(江沢民政府)はチベット人の殺害は無かったと主張していますが、証拠となるビデオ映像が存在しています。

chinese soldiers shooting tibetan pilgrims at mount everest


1950年から1976年の間のチベット人犠牲者の数は120万7387人ですが、チベット民族の総人口が約600万人ですので、5人に1人が、既に犠牲になっています。江沢民が更にチベットの民族浄化を徹底化させるのは、それ以降のことです。2011年スペイン最高裁は、チベットが被占領国家であることを認定しています。因みに、1949年、チベット侵攻の戦闘の指揮を執ったのは鄧小平です。亡命政府のダライ・ラマに”祝福”を得たい。ただそれだけの気持ちで越境しようとしたチベット人を狙撃したのがナンパラ銃撃事件の真相です。80年代から90年代にかけて行われたとされるチベット人への「集団殺害」容疑で、江沢民は国際指名手配を受けています。 2009年12月17日、アルゼンチンの裁判所は江沢民を集団虐殺罪と拷問の罪で逮捕状を出しています。―Wikipedia より


チベット一つを見ても、ポルポト政権下のクメールルージュによる167万人の虐殺に匹敵するほどの虐殺が行われています。江沢民は、更に過激に、チベットの民族浄化を推し進めていったのです。法輪功学習者への弾圧の理由として挙げられるのは、法輪功が”脱党運動(共産党からの離脱)”を掲げていたからです。凡そ、1億7000万もの脱党宣言が、国内外に流れたのが発端でした。事態を憂慮した中共は、以下のような措置を講じたのです。1998年、李嵐清 国務院副総理は「法輪功の評判を傷つけ、財政的に崩壊させ、肉体的に破壊」することを求めた江沢民主席の指令を公表しました。つまり、7000万人と言われる法輪功を反革命分子と見做し、根絶やしにすることでした。これは”文化大革命”の狂乱沙汰とは異なる経過を辿ります。江沢民の指示で、法輪功学習者は、”臓器狩り”の対象となったのです。ただ単に殺害するだけでは勿体ない。臓器売買を一大ビジネスとして成立させ、一挙両得を図る。旧政府高官からの発言からも、江沢民が、「腎臓の売買に力を入れよ」と指示をしたのが分かります。江沢民の指示の中に見える、法輪功学習者の”肉体的破壊”の意味は、臓器を抉り出すことを意味します。現時点に於いて、国際社会のみならず、中国国内でも、江沢民に対する訴状を提出する動きが活発化しています。アクトン卿の、「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」の言葉を私は想起しています。引退後も、隠然とした力を行使する江沢民ですが、いずれ正義の鉄槌が下され、彼が破滅する時期は近いでしょう。


「江沢民を刑事裁判に」 アジアで100万人以上が刑事告発

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