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中共によるPropaganda(宣伝)とは裏腹に、中国は国際平和秩序への挑戦者だと言っても過言でありません。中国製の武器が現実に内戦や紛争で使用され、幼児や非戦闘員を含む無辜の市民が大量に虐殺される事態がスーダンで勃発しました。虐殺を使嗾したのは他ならぬ国連安保理の常任理事国である中国当局です。本来ならば国際平和秩序の牽引役たるべき大国が、率先して国際秩序を撹乱している現状に、私は憤りを感じています。スーダンの虐殺を唆した見返りに中国は独占的な石油利権をスーダンから獲得しました。武器製造の輸出規模を激増させて、見返りにアフリカの天然資源を貪る中国の脅威は、アフリカのみならず世界情勢を著しく不安定にしています。中共の傲慢と横暴は近隣諸国との軋轢のみならず、遠くアフリカの地にすら及んでいます。習近平はアフリカを”自国の生命線”とすら呼んでいますが、これは中国自身の利権と密接に結びついているからです。今回の記事では、スーダンのダルフール虐殺の背景にある中国の許されざるべき振る舞いを見ていきます。
中国の国際平和秩序への挑戦
2008年、”人道に対する罪”を理由に、ICC(国際刑事警察機構)はスーダンのアル=バシール大統領の逮捕状を請求しましたが、肝心の国連軍の派遣によるスーダンの治安回復は、拒否権を持つ中国の妨害に遭ったのです。ダルフール紛争の”影の立役者”が中国であり、アル=バシールによる虐殺の後ろ盾もまた中国だからです。
中国は国連安保理の”常任理事国”ですが、その実態は国際平和秩序を乱す当事者です。
”中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年記念行事”と華々しく銘打った、中国主催の2015年の国際式典には多くの国家が列席を見合わせましたが、国際指名手配を受けているスーダン元首アル=バシールは中国に招聘されて出席しています。世紀の”虐殺者”アル=バシールを”反ファシズム式典”に列席させる中国の異常さには呆れますが、韓国の朴槿恵大統領やコンゴ民主共和国のジョゼフ・カビラ大統領、あろうことか国連総長の潘基文も列席するなど、国際社会の常識から懸絶した国家の”集大成”といった式典だったことは明白です。
アフリカ諸国への中国の武器輸出は近年とみに増大傾向にあり、2005年アフリカ51ヶ国を対象に行われた調査では、実に7割の国家が中国製武器を輸入、アルジェリア、アンゴラ、カーボベルデを始めとするアフリカ10ヶ国が新たに中国との武器取り引きへと加わりました。
2015年、習近平政権は”10大合作計画”を発表し、中国とアフリカは”運命共同体”であると強調し、民生インフラ整備事業に7兆円を拠出すると表明していますが、スーダンの例を見るまでもなく、元はと言えばアフリカ諸国からの収奪によって成立している欺瞞以外の何ものでもないのです。
アフリカ東部のアフリカ東部ジプチでは中国は基地の建設を進めており、ジブチ・中国両政府は軍事協定を締結し、半永久的な軍事拠点の整備に余念が無いのです。これは2011年にパキスタンでの軍事基地建設に始まる中国の海外への軍事的拡大であり、国是とされてきた”海外で軍を展開しない”とされた方針を大きく転換する意味を持っています。
第12期全人代での習近平の演説”中華民族の偉大な復興”とは、新疆やチベットの弾圧を強化し、周辺諸国と領土領海の紛争を惹起して途上国や紛争当事国に大量に武器をばら撒く、危険な”膨張主義”以外の何ものでもありません。
人民網での謳い文句”平和的な南南関係”の実態は、アフリカを始めとする様々な諸国の紛争や対立を惹き起こすものであり、内乱を深化させて収拾不能な虐殺を創り出す”虚構”であると断言出来ます。UNDP(国連開発計画)によれば、正常な南南協力とは”平和的な互恵の意思に基づく支援や協力”を前提としており、武器の輸出で紛争や内戦を唆す中国には、”国際平和”を語る資格は全くありません。
ダルフール紛争の悪夢
スーダン政府及びジンジャウィード、そして反政府組織の間で激しい戦闘が勃発したのが2003年2月26日のことです。ダルフール紛争は世界最大の人道危機であり、死者30万名、難民200万人が発生しました。以下に示す地図の赤い印が虐殺の行われた場所ですが、ライフルや機関砲等の小火器ではなく、ヘリや戦闘機による重爆撃によって”惨禍”が引き起こされている点がダルフール虐殺の特徴です。小国スーダンでは、こうした最新兵器の製造能力は皆無ですから、何処かの国がヘリや戦闘機を組織的に供与しなければ不可能だったわけです。チャド国境近くの特定の地域(スーダン領内ダルフール地域)が”標的”にされているのが地図から読み取れます。この地域は石油資源が豊富ですが、支配権はイスラム系アフリカ人が掌握しており、埋蔵資源の利権を巡る熾烈な争いが続いていました。
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(Source: DigitalGlobe, Inc. and Department of State via USAID)
スーダン政府軍及び、政府支援のアラブ系武装組織ジンジャウィードの虐殺を幇助したのが中国です。石油利権と引換えに、中国は小火器やヘリ、戦車を含む武器をスーダンに輸出しましたが、実にスーダンの石油輸出による収益の80%が、武器の購入に当てられている事実が示す意味は重大です。
石油埋蔵地域の住民弾圧と排除殺戮の為に、スーダン政府は中国製武器を必要としていたのですが、スーダン国民を”豊か”にするべき石油資源が、中国の思惑によって”市民の血”に代わったのです。
英国BBC放送はドキュメンタリーで、スーダンへの中国の武器供与に関し以下のように報じています。
各国合意の武器輸出禁輸の締結後も、公然とスーダンに武器を輸出し続けていたのが中国です。中国当局を後ろ盾にしたスーダン政府及びジンジャウィードの横暴は苛烈を極めました。スーダン政府は公式にはジンジャウィードの暴虐への関与を否定していますが、政府及び中国による武器と戦略的な支援があったのは明白です。
武器売買の意味するもの
中国はスーダンを武器密売ネットワークの拠点と化し、独裁国家、紛争地帯に武器を非公式に売買しているものと見られます。スーダンにおけるダルフール紛争の影で中国が暗躍していた事実は動かしようがありません。スーダンのような貧しい国家に、現金で高額の武器を売ることは不可能なので、対価として石油を中国はスーダンに要求しているのです。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の公表によると、2011年からの5年間に於ける、中国の武器輸出量は88%増と”異常”に高い数値を示しており、地域紛争や内乱、戦争などの軍事的危機が逆に却って中国を潤す結果となっているのです。
中国が本腰を入れて国際協調、及び国際平和を重視しているならば、武器禁輸を守り、周辺国家や周辺地域と対話と平和への努力に取り組むはずです。紛争の火種を抱えた国家の資源を収奪し尽くし、引き換えに武器を渡して殺し合いをさせる。周辺諸国とは領土問題を惹き起こし、軍事的に強硬な姿勢を示す。
中国の戦略とは、武器の輸出と引き換えに資源を貪り尽くし、近隣諸国と軋轢を惹き起こして軍事的な緊張を高めて、自国の武器を売り捌くことだと構図が透けて見えます。
人為的に”紛争”を唆し、近隣との”緊張”を生み出すことによって、対価や利権、資源などが中国の手元に入るという構図が見えてくるのです。
習近平政権の一帯一路(人民網)の美名の裏にあるのは、チベット虐殺であり、新疆弾圧であり、ダルフール虐殺の幇助なのです。
習近平と国連の潘基文事務総長と会談では、潘基文は”中国が数多くの発展途上国への支援において重要なリーダーシップを発揮、国際平和事業に貢献した(人民網)”と表明していますが、その実態は現実と全く懸け離れています。
加えて中国は、国連の特定通常兵器使用禁止制限条約で禁止されている”過剰に殺傷力の高い兵器”を配備かつ運用していると、米軍事シンクタンクは懸念しています。人間の網膜を焼いて失明させる、”盲目化レーザー兵器”がその代表です。
現実に中国兵器に対価は支払われているのか
崩壊したカダフィ旧リビア政権に武器を輸出した形跡が認められる中国ですが、反政府派の勝利によってリビアは国土が灰燼と化しました。中国政府は禁輸を破ってまで旧政府に武器を供与しておきながら、政権転覆劇の際にはカダフィに手を貸しませんでした。中国が武器を輸出する当事国は貧しい軍事国家や独裁国家が主体であり、資源以外に対価を中国に払えない国家ばかりです。増して、武器禁輸制裁を受けている国に堂々と自家製武器を産出資源を対価に輸出しているのが実態で、通貨によって中国製武器の輸入国家が対価を支払っている形跡は皆無です。軍事国家や独裁国家は”軍事力”が政治的及び軍事的なな基盤ですから、資源の大半を物々交換してでも、中国製武器を輸入せざるを得ないのです。
SIPRIの公表では武器輸出総量は中国が世界第三位ですが、対価をもって輸入国(パキスタンを始めとして、先述のアフリカや中東の独裁国家なども含まれる)が中国製武器を買い入れた事実はありません。つまり、武器と資源を交換にしていて、中国製武器は国際武器市場では買い手の付かない粗悪品だということです。ですが銃や戦車、戦闘機などは後発国では充分な”凶器”足り得るのであって、スーダンを例に取ればダルフール虐殺の直接の引鉄になっている事実は否めません。
世界が相手にしない独裁者や軍事国家に宗主権の如き支配力を及ぼし、輸出の対価を省みず、その代わり資源を貪り尽くし、当事国に内戦を誘発して自国の劣悪な武器(但し殺傷力がある)を供与する。
これが平和の取り組みの一環だと中共が宣伝するなら、噴飯物だと断じることが出来ます。国際指名手配を受けているスーダンのバシールが自国内で軍事的優位にある限り、軍事独裁は永続し、スーダンの無辜の市民が嬲り殺され、中国が裏取引で独裁を幇助し続ける構図も揺るがないのです。
この記事の冒頭でバシール大統領が反ファシスト記念式典に中国政府から招聘を受けたと記載しましたが、ファシストであるバシールを”反ファシスト”式典に呼ぶ中国当局の神経の異常さが際立つ結果が明らかになりました。チベット人虐殺者のファシスト中共が、スーダン市民虐殺の首魁であるファシストであるバシールを反ファシスト記念式典”に呼ぶという奇妙な事実も、以上の叙述からご理解頂けたかと思います。
最後に中国の”南南協力”の虚像を指摘し、スーダン国民を死地に追いやっているのは他ならぬ中国の挙動にあることを再確認して本稿の締めとしたいと」思います。
この記事のまとめ
人民網での謳い文句”南南協力”への中国による寄与は虚偽であり、実際には紛争を惹起し、武器を供与して自国の利益を貪る”平和への挑戦者”が中国だということです。ここ5年の武器輸出の異常な伸びは、国際社会の平和理念に反して、中国が自国製武器をを内乱や紛争当事国に近代兵器を流していることを裏書きしています。スーダン政府の住民虐殺を武器輸出で支えていたのは中国です。スーザン国民の虐殺に対し抗議も懸念も示さなかったのが中国という国の本質です。中国の描く”民族の夢”とは欺瞞と傲慢以外の何物でもなく、覇権主義もしくは膨張主義と言い換えても差し支えありません。ダルフール虐殺の幇助と武器売買の現実を目の当たりにした以上、国際世論を虚偽で操作することは不可能だと言って差し支えないのです。
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