左派政党に一貫する立場とは、政治不信や社会不安がイデオロギーの根幹である点です。分かりやすく言えば、左派は、社会の不安定に立脚しているのです。左派は政府への批判を栄養にして太っていく。階級闘争、即ち搾取された労働者が蜂起して資本家を血祭りにあげる。それが共産主義の出発点です。即ち、労働者をインテリゲンチャが煽り立て、暴力的に革命を引き起こす。それが左翼思想の本質です。つまり、左派は、社会の矛盾や不満のエネルギーが増大することを望み、いずれ暴力的であれ政権を奪う肚なのです。マルクスは、革命は歴史的必然と唱えましたが、プロレタリア独裁から始まった共産主義は、独裁を経て、1989年にイデオロギーの崩壊を迎え、世界から撤退を始めました。蓋を開けると、政治的な粛清や民衆の虐殺と言った、非道を働いてきたのが共産主義政権です。反革命分子は徹底的に駆逐して、共産党の独裁体制を作る。ここまでは一般論に過ぎませんが、昨今の香港情勢を見る限り、共産党支配の実質は、一種の暴力装置であり、プロレタリアートの代弁者ではないということが分かる筈です。毛沢東は、革命は鉄砲から生まれると、自ら述べています。民衆弾圧こそ、プロレタリアの代弁者を騙る、共産主義の欺罔です。本日、中国全人代で、重要な法案が可決されます。中共が香港の政治的自主性を破壊し、自由主義を封殺するという暴挙に出るのです。何故、本稿で左派の性質を記述したのかと問われると、いずれの国に於いても、左派は政府与党の批判しかしない点を強調しておきたいからです。これは必然であり、冷戦時代の二項対立の残滓と言っても良い。ソヴィエト連邦の崩壊は、甚大な影響力を世界に行使しましたが、唯一、中国共産党は亡霊の如く、生き延びました。中国はソヴィエト以上の圧政を敷き、嘗て、革命を輸出すると称して隣国のチベットに侵攻し、毛沢東思想を現実化しました。スペインの高等裁判所は、チベットを「被占領国家」だと認定しています。世界の普遍的な価値観に挑戦し、共産主義を輸出する。メディアを始めとして、政界・官界・財界と、徐々に侵食し、赤化させて、内部からの崩壊を企む「超限戦」を挑んでいるのが現在の中共の真の姿です。孫子の兵法に曰く、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」を、地で行くのが中共の本質です。即ち、中共は日本のシステムを徹底的に解剖し、間諜を放ち、徐々に自陣営に籠絡する。日本の二階俊博を頂点に、親日派と称する一派を政界の中心に楔として打ち込み、日本の言説の転覆を図る。「戦略的互恵関係」の美名の元に、日本の対中外交を躓かせ、着々と、「革命」の輸出を企図する。内外から日本社会を侵食し、国体を崩壊させる。こうした振る舞いは、暴力とプロパガンダで弾圧・洗脳し、国家を乗っ取る肚だと見ていい。今回の記事では、共産主義イデオロギーとは何か、そして中国の戦略である超限戦とは何か、詳述して参ります。
共産主義を総括
一般的に、左派政党・支持者は、社会の安定を最も嫌います。何故なら彼らは、政治や社会の不安定要素を「攻撃の材料」に活用しているからです。左派中核層の狙いは、国体や社会の破壊が目的ですが、彼らの政治的なエネルギーは社会不安が基盤となっているのです。社会の安寧と秩序が保たれ、国民に不満が無くなれば、左派政党は生き延びられない。イデオロギーで、自国を煽っていたのも、国民に政府を敵視させ、自ら優位に立とうとする暗愚な思考からです。さも、自らが「正義」であるかのように粉飾し、左派は政府を激しく攻撃してきた過去がある。いずれの国に於いても、国内の政治不信を高めるのが、左派政党の共通の目的であり、自ら火付け役になっても素知らぬ顔をして、「社会正義」の代弁者を騙るのです。彼らに共通するパーソナリティは、「罪悪感」の欠如です。彼らには良心の呵責が欠けていて、厚顔無恥で、躊躇なく、如何なる手段も厭わないことです。暴力革命を起点とすると広言して憚らない、極左の偏向と視野狭窄を、今一度思い起こして下さい。日本赤軍を持ち出すまでもなく、彼らが如何に無知であり、極めて危険か考えてみる必要がある。また、政府を揺する売国野党のメンタリティも、彼らが真に、国家の安寧を願って居らず、政敵に対して容赦の無い批判を繰り返す、幼児退行的な行為だと国民は理解している。共産主義・社会主義を総括するならば、一言で言えば、がらくたのイデオロギーです。奇妙な論法で、理論武装した左派の存在は滑稽であり、今日的な視界から見れば、アナクロニズムです。
中国の超限戦
国家の持てる人的資材、国力、政治、経済、軍事力、情報など、全てを動員するのが中国の超限戦です。これは相手国を懐柔・解体する為の、「総力戦」と言い換えることが可能です。領空・領海・領土に留まらず、サイバー空間に於いても展開するのが超限戦です。国防動員法を待たずとも、国家の意志と、全ての人民の行動が直結しているのが特徴であり、平時有事を問わずに、相手国に仕掛けることが可能な戦術です。分かりやすく言えば、「全てを使って相手を滅ぼすこと」です。とりわけ重要なのは、人民のコントロールであり、隠蔽や捏造、虚言や扇情を使って、常に監視を怠らないことが課せられています。中国の国防費は、治安維持に費やすコストより低いのです。被占領地域の弾圧と懐柔に、多大なコストを掛ける中国の膨張主義は、いずれ破綻が見えています。国境が膨れ上がる度に、莫大なコストが掛かる。馬鹿げた行為を繰り返す中共は、いずれ、周辺国のみならず、世界から孤立する。先に見た、がらくたのイデオロギーで、世界制覇など不可能な話です。易姓革命という言葉があります。統治者が、目まぐるしく交替した中国の歴史に竿差す言葉ですが、中共の支配者が、最も恐れるのは内部からの国の瓦解です。官製デモを作り出してまで、虚構を演じて来た中共は、自由を求める香港の真の叛乱に、手を焼いている筈です。香港を黙らせるには、通常の警察力では不足する。国家安全法の採択で、益々と香港への圧迫を強める。本日、全人代で、正式に採択された国家安全法ですが、これは言うまでもなく、香港の自治と自由を取り上げ、叛乱の芽を摘む為の当局の措置です。国際金融都市としての、香港のアドバンテージを犠牲にしてまで、中共は香港の叛乱を潰そうとしている。先に見たように、中華人民共和国は暴力によって生まれた独裁国家です。敵対するものには暴力で報いるのは、自明の帰結です。自国民であれ、一旦分裂主義者と見做せば、銃口を向けるのも厭わない。それが共産主義中国の、本質的な性格です。
この記事のまとめ
中国の欠陥は、がらくたのイデオロギーを、暴力で正当化することから始まっています。セルフ・コントラディクションの罠から、抜け出せないのが今の中国です。膨張すればするほど、矛盾と混沌を抱え込み、世界で孤立を深めていくのが中国の未来です。中国共産党は、グローバル化し始めています。世界へ向けて、中国共産党は支配力を強めています。世界覇権の為には、アメリカ合衆国を破壊しなければなりませんが、中国はアメリカ社会への工作も開始しています。一方で、中共により日本は国土を侵食され、偏向したメディアで世論操作の真っ只中にいます。 Michael Pillsbury は著書、 「The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower 」の中で、以下のように述べています。「中国がアメリカ主導の世界の政治経済を覆し、共産党誕生100周年を記念する2049年までに、共産主義による世界支配を目標とする長期戦略を持っている」と。邪悪な専制国家が、長期的な計画で、世界秩序を握ろうとしている。我々は、一致結束して、中国に対峙していく必要があるのです。
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